くちびるに歌を(劇場公開2015年2月28日)

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こんにちは。銀次郎です。

今回は大人気女優・新垣結衣主演の映画『くちびるに歌を』です。

こういう青春映画を観ると僕はだいたい泣いちゃうんですが、今回はなんていうか、大発見があっていつも以上にぼろぼろ泣いてしまいました。


この映画には随所にいろんなメッセージが隠されてます。

まず、アンジェラ・アキの名曲『手紙 〜拝啓 十五の君へ〜』がモチーフとなっていて、この映画全体の根幹にあるテーマであること。

新垣結衣演じる柏木先生がかつて15才だったころに書いた将来の自分像とそれに反して自分を見失ってしまった今を対比し、15才の生徒たちに15年後の自分に手紙を書かせること。

悲しい過去にとらわれて抜け出せない柏木先生に、自閉症の兄を持つ桑原サトルが生きる意味を問う場面。

その桑原サトルは学校では誰からも相手にされず友達はいないが、自分が生まれてきた役割を(正しいかどうかは別として)しっかり認識していること。

仲村ナズナはどんなつらい状態にあっても「前進、前進」と亡くなった母の教えを心の糧にしていて、それが船が出向して前進する時の汽笛がドの音であることと、桑原サトルの兄が機嫌がいい時にその汽笛の音を繰り返し口にすること。

その仲村ナズナが「父に2度も捨てられた」ことに、柏木先生がかつて「音楽で人を幸せにする」という15才の頃の気持ちを取り戻してずっと弾けなかったピアノを弾けるようになったこと。

その場面で柏木先生の向こうの壁に
 「勇気を失うな
  くちびるに歌を持て
  心に太陽を持て」
 の言葉が象徴的に掲げられていること。


この映画は、複雑な家庭環境だったり様々な境遇にあって多感な15才を過ごす生徒たちと、かつて15才だった自分が大人になって自分を見失ってしまった柏木先生の心情を、船が出向する時の汽笛のドの音階をキーファクターとして交錯させている点は見事というほかありません。


ところで、この映画のタイトルを見た時から気になってたことがあります。

そして映画を観てるうちに僕の奥深くに眠っていた11才の頃の記憶が完全に蘇りました。

僕は小学5年生、今から39年前のことです。

当時まだ新米といっていいくらいの若い女の担任の先生に、一年を通して毎日のように繰り返し音読させられ、丸暗記させられた詩がありました。

それがこれです。


『心に太陽を持て』

 心に太陽を持て。
 あらしが ふこうと
 ふぶきが こようと
 天には黒くも、
 地には争いが絶えなかろうと、
 いつも、心に太陽を持て。

 くちびるには歌を持て、
 軽く、ほがらかに。
 自分のつとめ、
 自分のくらしに、
 よしや苦労が絶えなかろうと
 いつも、くちびるに歌を持て。

 苦しんでいる人、
 なやんでいる人には、
 こう、はげましてやろう。 
 「勇気を失うな。
 くちびるに歌を持て。
 心に太陽を持て。」


これはドイツの詩人 チェーザレ・フライシュレンが書いた詩を、山本有三という人が訳したものだと今になって知ったんですが、

そうです、音楽教室の壁に掲げられていた言葉とまったく同じなんです。

様々な悩みを抱える15才の生徒たちと、自分を見失った先生に向けたメッセージでもあり、観ている僕らに向けたメッセージでもあるんですね。

僕の担任の先生がどんな気持ちでこれを教え何を伝えたかったのか、この映画の中で柏木先生や生徒たちの出来事を通してどんなメッセージが発信されてたのか、そして僕の今のつらい状況とが完全にオーバーラップしたとき、僕はぽろぽろ涙を流していました。

映画の中で柏木先生は15才の生徒たちに15年後の自分に手紙を書かせていますが、僕は11才の頃に39年後の自分に向けて当時の先生からメッセージを受け取ってたんですね。

これをご縁というんでしょうか。


この映画、僕のイチオシです。

ぜひ一度観てみてください。


■映画データ
キャスト
  • 柏木ユリ - 新垣結衣
  • 松山ハルコ - 木村文乃
  • 塚本哲男 - 桐谷健太
  • 仲村ナズナ - 恒松祐里
  • 桑原サトル - 下田翔大
  • 関谷チナツ - 葵わかな
  • 辻エリ - 柴田杏花
  • 長谷川コトミ - 山口まゆ
  • 向井ケイスケ - 佐野勇斗
  • 三田村リク - 室井響
  • 横峰カオル - 朝倉ふゆな
  • 福永ヨウコ - 植田日向
  • 神木マイ - 高橋奈々
  • 篠崎シュウヘイ - 狩野見恭兵
  • 菊池ジュンヤ - 三浦翔哉
  • 仲村静流(ナズナの母) - 石田ひかり(特別出演)
  • 桑原アキオ(サトルの兄) - 渡辺大知
  • 桑原照子(サトルの母) - 木村多江
  • 松山ハルコの夫 - 木本武宏 (TKO)
  • コンクールの司会者 - 野間口徹
  • ユリの婚約者 - 鈴木亮平
  • 東京消防庁の職員 - 前川清
 監督 三木孝浩
 劇場公開日 2015年2月28日
 原作 『くちびるに歌を』(2011年)中田永一

■ストーリー(ネタバレあり)

長崎県・五島列島のとある島の中学校。合唱部顧問の松山ハルコは産休に入るため、代わって松山の中学時代の同級生、「元神童で自称ニート」の臨時教員・柏木ユリに、1年間の期限付きで合唱部の指導を依頼する。

それを知ったその学校の中学生の中には柏木の美貌目当てに合唱部に入部したいという男子生徒が続出、桑原サトル・向井ケイスケ・三田村リクらが入部したが、もともと合唱部には女子しかおらず、以前から合唱部に所属していた仲村ナズナ・長谷川コトミ・辻エリなど、受け入れる側の女子生徒と軋轢が生じる。さらに柏木は7月に諫早市で行われるNHK全国学校音楽コンクール長崎県大会出場にあたっても独断で男子との混声での出場を決め、合唱部の男女生徒間の対立は深まるばかり。

その一方、柏木は課題曲「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」にちなみ、「誰にも見せる必要はないから、15年後の自分に向けて手紙を書け」と部員に宿題を出す。これを受けて彼らがそれぞれに書く手紙、あるいは登場人物同士の会話を通じて、彼らがそれぞれに抱えている秘密と心の傷も明らかになっていく。その後合唱部内でのある事件を経て、これまでやる気のなかった合唱部所属の男子生徒もコンクールに向けて真面目に練習に打ち込み始めるなど次第に部内のわだかまりが解消されていき、やがて長崎県大会の本番に挑むことになる。



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